回気堂を訪れた多くの方が、そうおっしゃいます。むずかしい資格や肩書きよりも、ただ丁寧に、深くお話を聴くこと。それを何より大切にしてきました。
主宰の玄斎は、日本の性カウンセリングの草分けのひとりとして、40年以上活動してきました。インターネットもSNSもなかった時代から、口コミと紹介だけで、これまでに1万人を超える方のご相談に向き合ってきました。
政治家や経営者、医師や教師、主婦の方や学生さんまで、立場もさまざまな方が、どこにも話せないお悩みを抱えて回気堂にたどり着きました。海外にお住まいの方からのご相談も少なくありません。
なぜ、ここまで「聴くこと」を大切にするのか。よく尋ねられます。
カウンセリングには、認知行動療法や精神分析など、さまざまな優れた手法があります。ただ回気堂では、そのどれかを正面から当てはめることは、あまりしません。
本当に困っているとき、人はアドバイスより先に、「そうか、それは大変でしたね」という一言を求めているからです。性のお悩みは、とくにそうかもしれません。
“「治そうとする視線が加わると、さらに深く傷つく。
だから私は、治そうとしない。ただ、受け取る。」”
玄斎は、日本の性カウンセリングの草分けである奈良林祥先生に学び、この道へ進みました。なかでも大切にしてきたのは、「相談者を治そうとするな」という言葉です。
ご自分の感じ方が世間の「ふつう」と違うかもしれない——そう感じながら、誰にも相談できないまま長く過ごしてきた方がいます。そういう方に、正解も枠も要りません。ただ、しっかり受けとめてくれる相手が必要なのだと思います。
80代の方が、はじめてご自分の思いを言葉にされたとき、まるで少女のような表情をされていました。長いあいだ誰にも言えなかったことを、口にできた瞬間でした。
性は、年齢で終わりにするものではありません。むしろ年を重ねるほど、向き合い方は深まっていきます。あなたの性は、生きているかぎり、ずっとあなたのものです。
回気堂が長く続けてこられた理由のひとつは、秘密を一度も漏らさなかったことだと思っています。
性のお話は、漏れてしまうと人生に関わることもあります。だからこそ、お聞きした内容を外で話すことは、決してありません。
ここでお話しいただいたことは、ここだけに留めます。その安心があってはじめて、人は本当のことを話せる——回気堂はそう考えています。
“「まだ玄斎を知らないまま、一人で抱えている人がいる。
その人たちのことを考えると、扉を閉じたままでいることができなくなりました。」”
これまで回気堂への入口は、長く「紹介」だけでした。けれど時代は変わり、プライバシーを守りながらオンラインでつながれるようになりました。
40年以上かけて積み重ねてきた経験を、ひとりでも多くの方へ届けたい。性のよろこび、生きているよろこびを通して、人生を楽しんでいただけたら——回気堂はそう願っています。